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中学生くらいの時に読んでた漫画。この前実家に帰った時に引っ張りだして読んだ。 原作は中国の明代に成立した小説の翻訳版である封神演義/訳:安能務。僕は原作も読んだことがあって、これもえらくぶっ飛んでる話なんだけど、漫画の方も藤崎竜のSFテイストが原作とうまいこと化学反応して現代的にぶっ飛んでる。 まあ、漫画版についていうと、原作に沿っているということもあり、シナリオ的というか、最初から最後まで物語が首尾一貫していて、それゆえに(週刊連載ということもあって)いろんなところでちょこちょこと破綻が見られるんだけど、それが許されるくらいの大きな展望を持った物語。 改めて読み返してみて面白かった。 もっと言うと、クライマックスの直前までは普通に面白いSFバトル漫画なんだけど、本当に最後の最後の物語の落とし方が当時はすごく衝撃的だった。 >以下ネタバレ注意< …あんまりバレないかもしれないけど SFにはあまり詳しくないから、もしかするとSF界においては結構一般的な概念なのかもわからないけど、この藤崎竜の歴史観にはすごく共感する。今読んでも共感する。手塚治虫にもちょっと近い話があるけど、歴史にはいくつもの可能性が存在しているはずだという歴史観。パラレルワールドにも通じる話かもしれない。だから未来にはいくつもの可能性がある。これはまあ、ある意味当たり前な考え方。同時に僕は過去においてもいくつもの可能性があると思っている。たぶん藤崎竜もそう思っているはず。まだ、うまいこと言えないけど、現在において歴史として語られる物語は、膨大な過去の可能性の一つに過ぎないはず。歴史が唯一絶対の真理であるという認識は明らかにおかしいと僕は思っています。 歴史は物語に過ぎない。文学的に言うと、歴史は虚構である、みたいな感じになるのかな。虚構だからこそ面白い。学問として成立する。そう思う。様々な痕跡から可能性を推測し、先人の築いてきた膨大な歴史のロジックの中でその推測をドライブさせることで魅力的な物語を生み出す。そういう営みこそが歴史を学問として取り扱う意義だと思う。紡ぎだされた魅力的な物語は人間生活のいろんな場面で、効果的なエッセンスとして重宝される。例えば世界遺産や街並保全とか。 大切なのは、歴史を取り扱う人間が、歴史が虚構であることを常に認識しているかということだと思う。歴史は常に、ある大きなストーリーを展開させるためのロジックの一つに過ぎないことを認識すべきだと思う。歴史は常に再構築され続けるものであるべきだと思います。ある一つの歴史性を真理として、倫理的な問題への回答のの根拠として利用するのはかなり危険だと僕は考えています。そういう考え方は不条理な争いを生むキッカケにもなり得るものだと思います。それは身近なところでいうと、第二次世界大戦の様々な事例(ナチス、大東亜、等)をみれば明らかです。そういう意味で、歴史をよく知り、歴史に対する抵抗力というか免疫や耐性をしっかり養う必要があると思います。 そういうわけで、ぼくも可能な限り歴史を勉強していきたいと考えています。 結局、全然ネタバレしなかった。笑 話もだいぶ逸れた。笑 まあ結局は中学生の時にこの漫画を読んだことで、こういう歴史観を得られたのかなと思う。そう考えたら今になっても共感するのは当然と言えば当然やね。 欲を言えば、もっと正義vs悪のような構図を見えなくして欲しかったなあ。少年漫画だからある程度はしょうがないけど。
by matsumo5402
| 2008-08-22 00:13
| 晴れ
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