松本剛志の考えること
by matsumo5402
長崎県美術館
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先日長崎県美術館に行きました。


今回の目的はホセ・マリア・シシリア(José María Sicilia)展でした。
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かなり感動してしまった。彼の作品は、写真では伝わらないことが多すぎる。現物を見て初めて伝わることが多すぎると思いました。まあ、実際どんな絵画でも図録とかで見るより現物見る方が何百倍も感動的なものだと思うんだけど、それでも彼の場合は特別でした。というのは、彼の代表的な作品の多くは油彩画なんだけど(和紙ベースにインクっぽいやつで描かれてるものもある)、それが普通の布のキャンパスに描かれるのではなく、厚い蜜蝋の板状の塊の上に描かれているからです。その蜜蝋の中にも色彩が染み込んでいて(あるいは色彩が蜜蝋の中に閉じ込められていて)、額の中にすごく曖昧な靄のようなものがフワフワ存在しているような印象を受けました。それで、隣接している色同士(例えば黒と赤とか)が互いにせめぎあっているような、なんというか、色が生きているような、そんな感じでした。だから平面的というよりは立体的な空間が額の中に存在しているようでした。そういう意味では彫刻のようなものを見るような感じだったと思う。うーーん…言葉にしたらなんか安っぽくなってしまってる気がするからこの辺でやめとくけど、とにかく実際に生で見れてよかったと思った。

あと、長崎美術館には結構何度も行ってるんだけど、展示室の天井が可動のルーバーか何かによって、光を刻一刻変化させているということに初めて気付いた。光がテーマで、あいまいな靄みたいなものを描いているシシリアさんの作品の展示空間としては相応しい仕掛けだなと感じた。可動する装置というのはホワイトキューブ的な空間においては結構というかかなり重要な建築要素なのではないかとしみじみ思った。

それから、僕がいつも思うのは、もっと展示空間がくつろげる場所だったら良いのになということ。もっと椅子とかそういう座ったりできるような装置を自由に配置できたら良いのにと思う。まあ、県立美術館のメイン展示とかでは人がいっぱい来るから難しいことは理解できるんだけど、平日とかはフレキシブルに空間を変えたりしてもいいような気がする。特に個展の場合は、作品一つ一つをじっくり見てもらうと同時に、展示作品全体が作り出す空間の雰囲気のようなものを感じてもらうことを作者も期待してるのではないかなと思うから、人がスムーズに流れるためだけの空間構成はちょっともったいないと思っています。

まあ、そんなこんなでこの企画展は8/31までらしいので、機会があればみなさん見に行ってみて下さい◎僕ももう一度行きたい。


あと、Enzo Mari(エンツォ・マーリ)展も見た。これも見たかったやつ。
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彼がかなり誠実なユートピア論者のデザイナーであるということを初めて知った。そんな彼の作品がかなりの高値で売買されているという現実に対して彼自身はどう考えてるのかなと気になった。当時はもっとリーズナブルだったのかな…?そのへんのことは詳しくわからないけど、こういう現実はたった1人のデザイナーの力ではどうすることもできないわけだよね。でも彼の功績は、ユートピアのためのデザインという概念を世に知らしめたことで、その可能性を見つけていくのは僕たちの仕事ですね。とはいうものの、もはやこの時代、ユートピアな世界観というのは流行らないのかな。ユートピアの意義とか真剣に語ったりしようものなら危ない社会主義者と思われそうな気もするし…。そもそもいくつものユートピアの限界はすでに露呈してしまってるしね。でも、いつかは限界が露呈してしまうものだとしても、それぞれの時代におけるユートピア(みんなが幸せな世界)というのは人を惹き付ける力があると思うし、そういう大きな理想がないと結局人間は歴史的な転換をなし得ないと考えています。だから、僕はいつか、もしかしたら狂人とか思われるかもしれないけど、今僕らが生きている時代にとってのユートピアを提示できたらいいなあとぼんやり考えています。

それはさておき、Tongarevaていうボールセットがものすごく欲しかったです。上から見たらありえんくらいかっこよかった。ヤバいです。


そんなこんなで満足でした。
ちなみに、相田みつお展もやってて、ちょっと見たかったけど時間がなかったので諦めた。客の入りは明らかにシシリア展やマーリ展より、みつお展の方が数十倍は多かった。みつお偉大。
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美術館裏側の風景。美術館から始まり、やたらマッシブな建物が連続している、なんとなく不思議な風景。
by matsumo5402 | 2008-08-20 00:33 | 雲り
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