松本剛志の考えること
by matsumo5402
なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか
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この前こんな本を買った。
Chim↑Pom・阿部謙一編『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』河出書房新社

これはChim↑Pomが2008年10月に広島で行った、あるアート作品の制作に関しての第三者の、あるいは第三者との議論の一部をまとめあげた本です。
何のことなのかというと、この人達はこともあろうに広島の原爆ドーム上空に、飛行機雲で「ピカッ」という文字を書いたのです。この出来事に関しては僕もほんの少しこのブログで触れていた。『んーー』08/10/22写真も載せています。
それで当然のことながら、たくさんの広島市民や被爆者の方々からの悲痛な抗議がメディアで報じられ、2ちゃんねるなどでも袋だたきにされてしまいました。一方では、彼らの行為を擁護する声も少なくはありませんでした。
そういう彼らが引き起こしたセンセーショナルな一連の出来事に関する議論をこの本ではまとめあげています。世論に叩かれまくった状況を逆手に取って。
そういうわけで、この本のコンセプトとしては、彼らのこのアート作品(原爆ドームの上に「ピカッ」の文字が書かれて消えていく映像作品)自体の価値を見定めるというよりは、むしろこのアート作品の制作に際して発生した騒動の顛末を客観的にレポートして報告することで、読者に考える材料を提供したいというものだと思う。だから最初の前書きで、この騒動に関する価値判断は読者側に丸投げされている。一方で彼ら自身は自分たちの行った行為には一定の意味があったこと確信しているようである。
そういうスタンスにものすごい共感したので前書き読んだだけで感動して衝動的に買ってしまったという本。だから内容はこれから読んでみます。とりあえず、本自体のコンセプトの素晴らしさを率直に伝えたいと思ったわけです。
例の前書きから引用します。
「…僕たち自身が、この騒動についてもっと知りたいと思っている。なぜならこの騒動から浮上したさまざまな問題こそが、僕たちの表現すべき“今”だと改めて思うからだ…(中略)…この騒動についていっしょに考えてくれる人がいるなら願ってもないことだ。そのキッカケとして、僕たちは騒動に埋もれてしまったものをもういちど拾い集め、いろんな人にこの騒動について自由に語ってもらった。だから、ここに書かれたことがすべてではないし、ここに書いている人だけがこの騒動について考えればいいとも思わない。

彼らは単に原爆と戦争と平和の問題だけを扱いたいのではないのだと思う。そもそもそういう言葉が今の僕らにとって何なのかということを扱いたいのだと思う。そういう当たり前に使ってる言葉が自分たちの生活の中のどのへんに食込んでいるのか。そしてどう関わってきてるのか。
だから彼らは、自分らの作品自体は絶え間ない人間活動の中の一つの断面にすぎないんだ。でもちょっと変わった切り方をしてみた。とりあえず、その断面から周辺を見てくれ。いつもとちょっと見方が変わるんでない?というスタンスなのではないかなと勝手に思った。この本ではそれが明確になってる気がする。

こういう問題意識の人間が増えて、もっと声を張り上げていけば世の中楽しいのになーって、僕はそう思います。


ちなみに…
みんなこの出来事に関しては一貫してアートアート言ってて、なんか、最初、これってアートなのかなー、てかアートって何なのだろうとか、思ったりしたけども、逆に言えばこういうことってアートとしてしか発信できないんだなー、って思いました。アートって懐の広い言葉ね。

それとこの人達、いつもはもっとアホなことを本気でやるので有名です。まあ、「ピカッ」もよく考えたらそうとうアホらしい作品かも。あんまし趣味じゃないけど、好きです、この人達のやること。


author:松本剛志
by matsumo5402 | 2009-04-30 17:59 | 晴れ
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